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波打つ水面がキラキラと光っている。私が目を細めた時、彼女は言った。
「大切な人なのね」
大切?誰のことを言っているの?もしかして母の事?私は、あの人が大嫌いなのに。心の中で反論する。……私は何に対して怒っているんだろう。
「あなたは苦しがっている」
何も返せなかった。
「人を愛することは、心の一部を相手に渡すこと。でも、そこに見返りを求めると、相手が目の前から消えた時、渡した一部も一緒に消えて、虚しさ、苦しさが残る。だから今、あなたは苦しがっている」
母がどうなろうと私の肉体には物理的な影響は無い。でも、心に穴があいたような気分なのは、何なんだろう。私は、母を愛していたの?見返りを求めていたの?違う。私は……
「私は、別れの度に心の一部を持っていかれて苦しい思いをするなら、誰も愛さなくていい」
奥歯を強く噛むように私は力を込めて言葉を発した。
「あなたは何を恐れているの?」
私が恐れている?何に?わからない。
「前進するということは、Huikala、許すこと。苦しみや恐れを抱えては、前には進めない」
「じゃあどうすればいいの?」
彼女が私を見つめる。
「Alohaのままに生きるの」
「アロハ?挨拶の?」
「Alohaは誇りや尊敬の表現。そして愛そのもの。Alohaは愛と感謝で心を繋ぐ」
「なんだか難しくて、私にはよくわからない」
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