第一章

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「おはよぅ、カレンちゃん」 幽子先生がとびきりの笑みを浮かべ振り返ります。 相変わらず耳にしっとりと残る美しい声です。 しかし美しいのは声だけで、その顔は化け物です。 白く塗りたくった化粧は深い縦皺が入りひびが割れた陶器のようだし、落ち窪んだ目は黒く縁取られ、瞼には真っ青のアイシャドー。眉は不自然なアーチを描き、唇は人を食ってきたかのように真っ赤っか。白髪染めの取れかかった頭はグラデーションがかっています。 一体、彼女はいくつなのでしょう。
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