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「…とにかく中まで案内するよ」
「…ありがとう。でもいいの? 翔君もうすぐ出番なんじゃ…」
瞳が心配そうな声で翔に言った。
「うん、ギリギリ。だから早く入ろうぜ! …花音、渡してあったチケットは?」
翔にチケットのことを言われ、私は初めてその存在を思い出し、バッグを開いた。
「チケットね…あーはいはい。ちょっと待っ…ん? あれ…?!」
私はバッグの奥に手を突っ込み、中をがさこそと混ぜ返しチケットを探した。
「…花音。まさか…」
私の異変にいち早く翔が気付いた。
「あーあ」と言いたげな視線が私に送られる。
私はその視線から逃れるようにがばっと頭をバックに突っ込み、中を覗きこんだ。
……チ、チケットが…ない…!?
「…ッどうしよう?! 忘れてきたかも!!」
私はバッグから勢いよく顔をあげ、二人に向って叫んだ。
その場にしゃがみこんでバッグの中身すべてをひっくり返してチケットを探した。
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