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「…とりあえず、行ってみよう! 花音」
「…うん!」
瞳と顔を見合わせてうなずき、急いで翔のあとを追った。
追いついたとき、翔はちょうどエントランスにいたスタッフの人との話が終わったらしく、私たちの方へ振り向いた。
「はい、これ」
翔は数枚のリーフレットと、ドリンクチケットと書かれた小さな紙を私と瞳に差し出してきた。
「え! チケット…なくてもいいの?」
「いいって。チケット代は俺が先に支払って済んでいるし、俺らもよくここでライブするから多少の融通は利くよ。後ろつかえてるから早く奥に進んで」
翔は優しく私の背中を押した。
翔が心優しいサンタさんのように感じて、胸がじーんと熱くなった。
「…わかった。ありがと、翔。ごめんね」
「いいよ、花音がおっちょこちょいなのは一番俺が知ってるし」
……あれ?
珍しく、私にも優しいって一瞬思ったのに…違った。
やっぱり私はお子様扱い? …呆れて笑ってる!!
と感じたけど、忘れてきた私がいけないんだと思い直して、文句を言うのをぐっと堪えた。
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