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隣で私たちのやり取りを見ていた瞳が、私の手の中にあるマフラーに視線を落とす。
「そう。花音が最初、ライブ見に来るのいやだって渋って、そのマフラーあげることでようやく来る気になってんの。モノにつられるとか、花音って現金だよな」
「はい? このマフラーは翔が押し付けてきたんでしょ? ライブどうしても見にきて欲しい! 今ならこのマフラーつけるからって!」
翔の説明に納得いかなくて、慌てて話に割って入った。
「なんで花音はそんなにライブ行くの嫌がったの?」
瞳はきょとんとした顔で首を傾げてる。
私は、はあ…と、うな垂れてしまった。
「…だって。受験もあるし、成績が…致命的なぐらいやばいんだもん」
「テスト明けくらい別にいいだろ」
翔はしれっとした顔で言った。
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