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寒風にあたり、頬と耳がじんじんと痛い。 私は、ぱらりと肩から落ちた赤いマフラーを首にしっかり巻きつけ直した。 「…あの角を曲がればもうすぐ! だって」 瞳はスマホ画面を見て確認すると、私に向って微笑んだ。 大都会東京より西にある私の街は、製造業や小売業、農業、漁業どれもバラスよく発展してきたそこそこ都会の経済都市。 交通の便もよくそのためか『CRADLE』は、人気の大物アーティストも好んで選ぶ人気公演場所だった。 地元で一番大きく古くからあると、家を出る私を見送りながらお母さんが教えてくれた。どんなところだろうと、不安と期待で私は少し緊張していた。 地図の案内通りに角を曲がると、一見空き地みたいな大きな駐車場があり、そばには桟橋があってレジャー用のボートが整然と並んでいた。
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