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「…もし聞いて嫌なら断って」
そう前置きをして、響は一旦言葉を切った。
私は前のめりになってゴクリと唾を飲み込むと、響が話の続きを始めるのを待った。
「…最近、困っているんだ。モラルを欠いたファンに。俺の見てくれだけ。音楽をよくわからずにライブに来る女の子が増えている」
『響の見てくれ』
『音楽をよくわからないでライブに来る』
それって…まるっきり私のことだ…!!
「俺はアイドルになりたいわけじゃない」
ショックのあまり私が言葉を失っていると、響は少し申し訳なさそうな表情を作り、続けた。
「…ごめん。俺に彼女が出来れば、そういう子も減るかなって。ちょっと思いつきで言っただけ。気を悪くしたなら引き受けなくていいよ」
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