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私が目をパチクリさせながら黙っていると、響は話を続けた。
「…この場所を使う時は本当に集中したいんだ。翔の幼なじみの君なら、それを分かってくれると思った」
そっか…。ちょっとだけ分かってきたかも…!
どうしてファンの子避けの “ 彼女 ” が必要なのか…!
ここにファンが来たら困るのは、音楽に真剣だから。
響はちゃんと自分たちの “ 音楽の力 ” でファンを掴んでいきたいって思っているんだ!
アーティストとしての響の音楽への拘り、真剣な気持ちがビシビシと伝わってきて、私はドキドキが止まらなくなった。
…よし。決めた。
やめよう、ごちゃごちゃ今考えるのは…!
私は響の音が好きなんだから、響のために全面協力する!
……その前に、
一つだけどうしても、気になることがある…。
それはさっき響が言った、『表向き』っていう言葉。
「……あの…」
私は少しためらいながらも響に聞いた。
「ということは、その、私は…響さんの…
……… “ 恋人のフリ ”……?」
一拍おいて、
「……平たく言えば……」
響はその事実を認めた。
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