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…翔は私のこと、響になんて話していたんだろう。
幼なじみってことと、名前以外も…何か言ったりしてたのかな??
「イブのライブが終わってから、翔の様子が少しおかしくて」
私はドキっとした。思い当たる節は…ある。
「響…さんは、私が翔と気まずくなった理由、もしかして知ってますか?」
「…いや? ライブ以降、翔とはまともに会っていない。連絡を数回しただけで、連絡がつかなくなった」
「…そうですか……」
下を向き、翔のことを考え込もうとした時、
「……名前、響でいいよ」
「……へ?」
「俺の名前、“ 響 ” で呼び捨てでいい」
とんでもない言葉が響の口から発せられた。
「…普段俺のこと、呼び捨てにしているだろ?」
目を細め、響は少し表情を緩めた。
「ぎくっ! …なぜわかったんですかっ!」
「ぎくっ…て…。面白いね花音は。さっきから、響…さん。て、後から付け足しているから」
響はふっと小さく笑ってから続けた。
「…俺も呼び捨てにしているんだから遠慮なく。敬語もいらない、いい?」
「……よ、呼び捨てにしてもいいの?…あと、敬語も…?!」
私があわあわと手をばたつかせていると、
「…一応俺たち、表向き、付き合っているんだから…分かった?」
「!!」
『付き合っている』という言葉を受けて、胸がどくんと、一際大きく波打った。
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