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感慨に浸っていると、鼻から液体がツーっと流れそうになった。
私は慌ててあごを上げ、鼻と口を手で覆う。
天井ばかりを見る羽目になった私の視界に、改めて伸ばされた響の手が映った。
「今日からよろしく、花音」
視線だけどうにか下ろし、響とその手をじっとみた。
ああ…。白目になって意識が飛んでいきそう……。
そんなみっともない姿、もちろん響にご披露するわけにはいかなくて、私は意識を必死に繋ぎ止めた。
「……う…ん。よ、よろしく……響…!!」
私は口元を隠していた手を、制服とスカートで拭きまくってから響の手にがしっと触れ、ブンブン縦に振った。
ああ…。響の手、綺麗! 指も長い!
つめの形まですごくいい……。
いつまでも握ったままでいたかったけど、響はぱっと手を引き抜いた。
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