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「はあ…疲れた…」
『秘密基地』への入口である白いドアの前。私はここに着いてからずっと、深呼吸ばかりを繰り返している。
駅のホームに降りてから、休むことなくここまで走ってきた。
心臓がどっどっどっどっど…と、高速でビートを刻んで凄いことになっている。
大きく息を吐いて、吸って、また吐いて…。
走る元気は有り余っていたけど、入るにはまだ…少し勇気が足りない…。
「うー…」
早く響に会いたい! 色々聞きたいこともある。
それよりまずは、なんて話しかけよう?
ああ…まだ、頭の中がぐっちゃぐちゃ。でも、このままここにいても仕方がないし…。
すうっと息を吸って、
「……幸崎花音、行きます!!」
スポーツ大会の選手宣誓のように、白いドアに向かって大きな声を出した。
覚悟を決め、ええいいっ! と勢いをつけて、ドアを押した。
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