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敷地内の駐車スペースは、たくさんの人でごった返していた。 よく見るとひときわ人が集まってる場所がある。あれが入り口かもしれない。 瞳と肩を寄せ合い、そこに向ってゆっくりとした足取りで近づいていく。 私は会場一体を包む独特の雰囲気に少し気後れしていた。 「花音! やっときた…。遅いから迷子になったかと思った!」 「!!」 急に後ろから名前を呼ばれ、どきんと胸が跳ねた。勢いよく振り向くと、 「翔…あれ? こんなところにいていいの?!」 “ 松原翔 ” がライブを観に来た他のお客さんを避けながら、呆れた顔ですぐそばまで近づいてきたところだった。 ん? 翔、なんかいつもと違う… よく見たら…前髪少し上げてセットしている? 「チケットあげたはいいけど…二人ともライブ初めてだろ? なかなか来ないから大丈夫かなって心配で」 「…それでわざわざ? 準備もあるのに、ありがとう翔君」 瞳は翔に向かって軽く頭を下げた。
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