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「ああああっ!」
声を上げたのは三浦だった。すぐに村田が「静かにしろ」と命じる。村田も動けなかったし今も動けない。信じられないことだが拓の右手に握られたガバメントは微動だにせず村田の額に狙いをつけている。
「俺は動くな、と言った。全員にだ」
拓は前後の敵に対し両手を広げるようなカンジで二丁の拳銃を握っている。
拓はゆっくり村田を睨んだ。
「小細工はするな。まず涼ちゃんを解放しろ、そうすれば俺も銃を置く。ゲームをしたいならそれからゆっくり説明すればいい。どうだ村田」
村田は黙った。今の篠原の射殺は村田に対する脅迫だ。本気を出せば涼の影に隠れていようが自分は殺すことが出来るぞ、だから自分たちが今有利だとは思うな……という拓の無言の脅しだ。
だがその時だった。
拓の首筋に冷たい金属の刃が当てられた。
「銃を降ろして下さる? 捜査官」
「た……田村女史!!?」片山と岩崎がほぼ同時に呟いた。
「もうこんな茶番は終わりにしましょう。私、今から村田君側につくことに決めましたわ。捜査官、銃を置いてくださらないかしら?」
「…………」
「た、田村さん……どうして!?」
涼も愕然と拓の背後に立つ田村を見た。田村もまた最初から味方でずっとゲーム運営側と戦ってきた仲間ではないか。
田村は周りの冷たい視線を嘲笑うかのように、清々しい微笑みを浮かべた。
「さすがの捜査官も手は三本ないでしょ? 後ろを取られたら終わり、降参して下さいな。ね? 私、死体を切り刻むのは馴れているけど生きた人間を切るのは馴れてないのよ。ヘンに手元が狂ったら大変だわ♪」
「分かった」
拓はため息をつくと、そっと両腕を下ろした。三浦はすかさず自動小銃の銃口を向けながら村田の方に歩いていき、田村はそっと拓の両手から銃を奪うと部屋の端に投げた。
「本気ですか、田村さん」
「ええ♪」
そういうと田村はもう片方の手でもっていた自動小銃の銃口を向け村田の方に歩いていく。そしてようやく、村田も起こしていたハンマーをダブルアクションに戻した。
「中々面白い化学反応が起きましたね、捜査官。これだから人間ゲームは楽しいんですよ♪ そうしょげないでいいですよ、僕も空気を呼んでここはこれにて去らせてもらいます。高遠さんの件、そして自動小銃破棄の件、そのうち面白いゲームを用意しますからしばし休憩していてください」
「…………」
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