第3幕 永遠に幸せになる方法、見つけました。

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あれは、さざ波が洗う白い砂浜。 私とあなたはここで出会って、 ここで††††。 あなたは最期、笑っていた。 そして私は、泣いていた。 どうしてこんなことをしてしまったんだろう、 って。 私の手は赤くて、 あなたの白い服は、赤く染まって。 あなたはあの日に、 私が††††から死んでしまったんだ。 最初は小さな口喧嘩だった。 幸せは永遠に続く、笑顔さえあれば幸せに生きていけるって、あなたはそう言ったのに。 家はどんどん貧しくなって、 笑顔なんて、欠片も無くなった。 「嘘つき」って、私は言った。 そのまま、砂浜まで裸足でやってきた。 あなたは、その後を追いかけてきた。 「大丈夫、また笑顔をつくれるようになればーー」 「笑顔笑顔ってうるさいのよ!もう嫌だ、私、もう死ぬ!!」 私は涙を流しながら、自分の首に鋭利なナイフを突きつけた。 「よ、よせっ!!それだけはっ!」 「やめて!止めないで!!これ以上、辛い思いをしたくないのっ!!」 「駄目だ、死んではーーー」 辺りに血飛沫が舞った。 そして私の体には、あなたの重みがのしかかってきた。 私は怖くなって、後退りする。 あなたは人形のように、その場に倒れた。 笑顔で。 そしてやってきたさざ波が、赤く染まってゆく。 私は銀色に輝くナイフを、遠い地平線に向かって投げた。 怖い、恐い、こわい、コワイ・・・ その恐怖感は、次第に自分を責める言の葉と、自問自答に変わっていった。 私は涙を流して、自分を責め続けた。 涙も枯れてきた頃、あなたの深紅の服から覗く、色褪せた紙に気付いた。 『ミナミの楽園、希望の都への地図』 そういえば昔、こんな話もしたな・・・ ーーここに行けば、私の犯した罪を、許してくれるかな・・・ 私はその“希望の都”を目指して、歩き出した。
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