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今日も、幸せじゃない人間がステージにやってくる。
「サイレン様・・・ごめんなさい・・・許してください・・・!なんでもしますから・・・!!」
そして醜い声で、私にすがってくる。
嫌、あなたみたいな不幸な人間に触られたら私が汚れてしまうわ!近寄らないでいただける?
「あら・・・あなたが幸せだったら、幸福安心委員会は要らないのよ?」
本当ね。私の言ったとおり。幸せな人間しかいなかったら、幸福安心委員会は存在していないわ!
「た・・・すけて!助けて!自分を許して!サイレン様!助けてくれ・・・」
なんかもう、この人は精神的にいっちゃってる。まあ、これから幸せになってはもらうけど、私もこれ以上この人間に関わりたくないわね・・・。
「ねぇ、あなたさっき『なんでもする』って言ったわよね?」
私は優しく語りかけてあげる。
「はい!サイレン様のためなら・・・なんでもします!!」
「ーーーじゃあ、幸せになって?」
私が言った途端、不幸な人間の前に、たくさんの項目が現れる。
「絞首、斬首、銃殺、釜茹で、溺死、電気、火炙り、生き埋め、薬殺、石打ち、鋸、磔、好きなのを選んでね♪」
軽快なリズムにのせて、私は唄う。
この人間が、幸福になるための素敵な唄を!
「・・・ざ、斬首で・・・斬首でお願いします!!」
人間は、笑いながら涙を流す。
はい、わかりました♪
ーーシアワセニナッテネ♪
人間の首に、銀色に輝くギロチンの刃が下りる。
綺麗なステージの床を、鮮血が染め上げる。
「幸福なのは義務なんです♪幸福なのは義務なんです♪幸福なのは義務なんです♪幸せですか?義務ですよ?」
私は歓声を上げる市民たちの真ん中で、幸福の唄を唄う。
そこで私の歌を聴いているあなた。
あなたは幸せ?
あなたはいつも、オンディーヌに監視されている。
幸せじゃなかったら、
あなたも今の醜い人間のような末路を辿ることになります。
それが嫌なら、この唄を思い出して。
きっと、幸せになれるはずよ♪
「幸福なのは義務なんです♪幸福なのは義務なんです♪幸福なのは義務なんです♪
幸せじゃないならーーー」
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