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ここは、綺麗な海の前の砂浜。
夏の夕方、ウミネコが鳴く。
「・・・君は知ってる?ミナミの楽園、希望の都。そこに行けば、永遠に幸せになれる場所」
あなたは、そう意味深なことを呟いた。
「いいえ、私は知らない・・・永遠に幸せになれる都・・・か」
私は言った。波音がその言葉をかき消しそうになる。
「願い事叶うその場所へ、行ける方法、見つけました!」
そうあなたは言い残した。言い残して、消えてしまった。私がどんなに手を伸ばしても、届かない場所へ。
その場所への手掛かりは、あなたが残した一枚の地図だけ。
私は、それだけを頼りに歩いてきた。
希望の都があると信じて。
だけど、そこにあったのは。
「突然ですが、あなたの願いを、
叶えさせていただきまーす♪」
ーー絶望の都だった。
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