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ピッピッ…
番号を押すたびに聞こえる、一定の機械音。
少しずつ先輩に近づいていく気がして音の数が増える度、胸が高鳴るのを覚えた。
と同時に、たった二時間前の先輩との出来事を思い出す。
『連絡先、交換してもいい?電話番号教えるね。』
そう言って、先輩は自分のバックの中からルーズリーフを出した。
『あははっ、こんなのしかないや。ごめんね』
優しい、柔らかい笑顔を見せて、先輩はルーズリーフをちぎった。
そして、自分のケータイを開く。
『俺、いまだに自分のケー番覚えてないんだ。』
照れたように、頭を掻く。
『よし。』
書き終えたらしい先輩は、私に向き合ってそのルーズリーフを手渡した。
『嫌だったら、これ捨てても構わないから。連絡くれたら嬉しいよ。』
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