第1章

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ピッピッ… 番号を押すたびに聞こえる、一定の機械音。 少しずつ先輩に近づいていく気がして音の数が増える度、胸が高鳴るのを覚えた。 と同時に、たった二時間前の先輩との出来事を思い出す。 『連絡先、交換してもいい?電話番号教えるね。』 そう言って、先輩は自分のバックの中からルーズリーフを出した。 『あははっ、こんなのしかないや。ごめんね』 優しい、柔らかい笑顔を見せて、先輩はルーズリーフをちぎった。 そして、自分のケータイを開く。 『俺、いまだに自分のケー番覚えてないんだ。』 照れたように、頭を掻く。 『よし。』 書き終えたらしい先輩は、私に向き合ってそのルーズリーフを手渡した。 『嫌だったら、これ捨てても構わないから。連絡くれたら嬉しいよ。』
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