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奪ってばかりだったから、 たまにはしてもらいたかった。 促された彼女はキョトンとしてから、 微笑んで唇を寄せてくる。 チュっ。 「……そんなんで足りるか」 「えー、もっと?」 「キスの仕方、教えただろ」 「うぅー。……じゃ、目、瞑って」 さすがの仔犬も、恥ずかしいらしい。 大人しく目を瞑ってやると、 肩に手が添えられ、 温かい感触が唇に押し付けられた。 ……だから、足りねーって。 誘うように唇を少しだけ開くと、 オズオズと忍び込んでくるノンの舌。 ――大胆なノンと、恥らうノン。 いったい、どちらが本物なのだろう。 それを突き詰めるのは、後にして。 今は、甘い一時を楽しむことにした。
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