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壁に掴まれば立てると思ったのだが、
彼女は何を勘違いしたのか、
手をこちらに伸ばしてきた。
「あ、おい……ったく」
ギュッと。
首に回った腕を振り払えず、
(原因である罪悪感もあるから)
腰を支えながらノンを立たせてやる。
「あ」
今度は何だよ。
「トモちゃん、おはよっ」
「……あぁ、おはよう」
あまりのマイペースさに、
すっかり押され気味の智樹である。
首から離れる様子がなかったので、
諦めてそのまま抱え上げた。
「今日、お仕事は?」
「休みだ」
「じゃあ。一緒にお風呂、入る?」
純粋な目をして、なんつーことを……。
力が抜けて、思わず彼女を抱えたまま、
ソファに腰を下ろした。
「入らないの? だって、裸だよ?」
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