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「あ」
言われてみれば。
物音に慌てて飛び出したため、
起きぬけのまま、
つまり、何も身につけていない状態だ。
「へへ。トモちゃん、スベスベだよね。
この鎖骨、好きー」
遠慮なく膝の上で智樹に縋り付き、
勝手に鎖骨を撫でている少女。
「……誘ってるのか?」
「えっちする? いーよ。
お風呂、まだ沸かないもんね」
ニコニコ、ニコニコ。
お前はいったい、どうしたいんだ?
そして。俺をどうしたい?
頬に手を添えると、
嬉しそうに目を瞑るから。
その細い体を抱きしめて、唇を重ねる。
抵抗なんて、させない。拒ませない。
そんな意思を込めて、唇を舌で割った。
彼女の唇は、やはり甘い香りがした。
夢中でキスを繰り返して、
彼女の髪に手を差し入れる。
戸惑いながらも受け入れる彼女を、
愛しく思いながらも、反面、
腹立たしくも感じた。
そんなに隙だらけだから、
こういう悪い男に漬け込まれるのだと。
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