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「ん……くぅん」
甘い唇を味わっていると、
甘い声が耳をくすぐる。
しかもそれは直接耳に届くのではなく、
彼の口内を通って伝わってくるのだ。
――駄目だ、止められなくなる。
そう、分かっているのに、
彼女の唇は麻薬のように誘うのだ。
――全てを失ってもいいから、
この唇を味わい尽くしたい――
おおよそ自分が考えもしない感覚が湧いてきて、少し恐怖すら覚えた。
誘う甘い唇。震える薄い肩。
胸、腰に脚を、すべて味わって、
彼女の声を聴きたい。啼かせたい。
その衝動に打ち勝つだけの自制心は、
とうに消え去っていた。
「……トモ、ちゃん?」
純粋な子供の瞳のまま、
しかし彼女は『女』の顔をする。
滑らかな背中を一撫ですると、
その感触に神経が高ぶった。
一瞬にして体全体の血がたぎる。
そんな錯覚を覚える。
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