4

14/40
前へ
/40ページ
次へ
「『好きなら、がむしゃらだ。  愛しているなら、必死になる。  スタイルとか体裁なんて、考えていられない。  格好なんて悪くていい。  その人を失わないために、死に物狂いになるのが恋だ』」 「情熱的な人ですね……。  そんな激しい恋を選ぶなんて」 冷め切った自分には、 とてもそんなことはできそうにない。 「恋は選べるものじゃないだろう。  気付いた時には落ちているんだから」 「何を言ってるんだ」 と言わんばかりの表情で、 専務が首を傾げた。 「専務って……  ロマンティストだったんですね……」 気付いた時には落ちている、なんて―― 「そうか?  自分ではリアリストと思っているが。  しがらみも常識も関係ない。  僕は心に正面から向き合っている。  ――見て見ぬフリをしないだけだ」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

99人が本棚に入れています
本棚に追加