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****************** 「失礼します」 エレベーターを待てず、 階段を駆け下りて荒れた息を整えた。 「来たか」 「あ、ノンちゃん。  三上さん、来てくれたって」 長身痩躯の専務と、小柄な専務夫人。 その奥に、俯いた少女が座っている。 「ノン」 声をかければ顔を上げるが、 真っ赤な目が合うと、 すぐにまた俯いてしまう。 雨に濡れた華奢な肩が、 小さく震えているように見えた。 「何が、あったんだ?」 「傘を届けに来たんだそうです」 「来たは良いものの、どうしたらいいか分からなくてオロオロしていた。  そこを警備員に見咎められたようだ」 「そうだったんですか……」 「警備員には注意をして戻らせた。  対応が悪くて、すまない」
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