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「いえ……。ノン? 大丈夫か?」
椅子の前に跪くと、
今にも泣きそうな状態で、
涙を堪えるノンの顔が見える。
……こんなに怯えて、可哀想に。
「ほら、おいで」
専務夫妻の前だったが、仕方ない。
抱き寄せようと手を広げると、
何故か彼女はビクついて体を引いた。
「……ノン?」
「ごめ……なさ……」
「どうした。なんで謝るんだよ」
「ごめん……」
とうとう吹き出した涙を見つけて、
少々強引にノンの体を腕の中に収めた。
「よしよし。もう怖くないから」
「ちが……違う、よ……」
「何が違う?
警備員が怖かったんじゃないのか」
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