4

8/40
前へ
/40ページ
次へ
「いえ……。ノン? 大丈夫か?」 椅子の前に跪くと、 今にも泣きそうな状態で、 涙を堪えるノンの顔が見える。 ……こんなに怯えて、可哀想に。 「ほら、おいで」 専務夫妻の前だったが、仕方ない。 抱き寄せようと手を広げると、 何故か彼女はビクついて体を引いた。 「……ノン?」 「ごめ……なさ……」 「どうした。なんで謝るんだよ」 「ごめん……」 とうとう吹き出した涙を見つけて、 少々強引にノンの体を腕の中に収めた。 「よしよし。もう怖くないから」 「ちが……違う、よ……」 「何が違う?  警備員が怖かったんじゃないのか」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

99人が本棚に入れています
本棚に追加