0人が本棚に入れています
本棚に追加
「綾なんで昨日先に帰ってたの?」
登校中に舞が聞いた
「いや~、すっかりわすれてたよ」
「もぅ、おかげで教室掃除やらされたし」
「どんまい~」
「綾には言われたくない」
舞はそんなに怒っているわけではなかった
だがひとこと言っとかないと気がすまなかった
「も~、そんなに怒んないでよぉ、せっかくのかわいい顔が台無しだぞ」
綾はそう言いながら笑顔で舞の頬をつつく
「ちゃかさないでよ!」
「怒った顔も可愛いなぁ」
「どっちなのよ!…はぁ」
綾のペースについていけず怒る気力を無くしてしまう舞
教室のドアのところまで来ると、いきなり頭の上に手を乗せられた
「おはよう桐崎さん」
少し離れたところから声が聞こえる
声をかけたのは裕紀だった
(あれ?じゃあ頭の上に手をのせているのはだれ?)
舞はとっさに振り向いた
「ドアの前にいられたら邪魔なんだけど」
振り向いた目の前には一人の男子生徒が立っていた
「ご、ごめんなさい」
(って、なんで私謝ってんの!?)
舞がとっさに避けたところをその男子生徒が通り教室に入る
「ごめんね桐崎さん、晴輝が何か言った?」
「えっ、あ、何も言われてないよ」
彼の名は伊波晴輝
金髪で腰にはパーカーを巻き、耳にピアスを着けている
見た目はチャラいが一般生徒とあまり変わらない
「ああ見えて晴輝は良い奴だから」
そう言って裕紀も教室に入っていった
舞も教室に入り席に着いた
(なんなのあいつ)
晴輝の方を見た
晴輝は裕紀や他のクラスの子と喋っていた
(邪魔って、もっと言い方ってものがあるでしょ)
「まいどうしたの?はっ!もしかして、まだ昨日のこと怒ってるの~」
「はぁ…べつに」
何度も謝ってくる綾がおもしろくて、わざと許してあげるとは言わなかった
最初のコメントを投稿しよう!