第1章

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「綾なんで昨日先に帰ってたの?」 登校中に舞が聞いた 「いや~、すっかりわすれてたよ」 「もぅ、おかげで教室掃除やらされたし」 「どんまい~」 「綾には言われたくない」 舞はそんなに怒っているわけではなかった だがひとこと言っとかないと気がすまなかった 「も~、そんなに怒んないでよぉ、せっかくのかわいい顔が台無しだぞ」 綾はそう言いながら笑顔で舞の頬をつつく 「ちゃかさないでよ!」 「怒った顔も可愛いなぁ」 「どっちなのよ!…はぁ」 綾のペースについていけず怒る気力を無くしてしまう舞 教室のドアのところまで来ると、いきなり頭の上に手を乗せられた 「おはよう桐崎さん」 少し離れたところから声が聞こえる 声をかけたのは裕紀だった (あれ?じゃあ頭の上に手をのせているのはだれ?) 舞はとっさに振り向いた 「ドアの前にいられたら邪魔なんだけど」 振り向いた目の前には一人の男子生徒が立っていた 「ご、ごめんなさい」 (って、なんで私謝ってんの!?) 舞がとっさに避けたところをその男子生徒が通り教室に入る 「ごめんね桐崎さん、晴輝が何か言った?」 「えっ、あ、何も言われてないよ」 彼の名は伊波晴輝 金髪で腰にはパーカーを巻き、耳にピアスを着けている 見た目はチャラいが一般生徒とあまり変わらない 「ああ見えて晴輝は良い奴だから」 そう言って裕紀も教室に入っていった 舞も教室に入り席に着いた (なんなのあいつ) 晴輝の方を見た 晴輝は裕紀や他のクラスの子と喋っていた (邪魔って、もっと言い方ってものがあるでしょ) 「まいどうしたの?はっ!もしかして、まだ昨日のこと怒ってるの~」 「はぁ…べつに」 何度も謝ってくる綾がおもしろくて、わざと許してあげるとは言わなかった
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