第1章

3/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「よし、全員いるな」 HRの時間、担任が出席確認を行っていた 「まい、あれが竹内先生だよ」 綾が舞をからかいながら言う 「わかってるって!もう、しつこいな!」 舞は今日ようやく担任の名前を覚えた 担任の名前は竹内雅人 中年で太ってはいないが服装がだらしない先生である いわゆるおっさんという類いだ 生徒からはフレンドリーだからと人気で 全く怒りそうにない感じがよく出ている 「じゃあ今日は来週にある校外学習の班を決めるぞ」 クラスのあちこちで班について話しはじめる 「おいおまえら、班はくじで決めるんだぞ」 竹内先生がそう言った途端クラスからブーイングが飛び交う 「文句言う奴はずっと先生と行動することになるぞ」 その一言でクラスは静かになった 「じゃあ、出席番号早いやつから来い」 みんなが順番にくじを引いていく くじの内容は簡単で、選んだ紙に書いてある数字がそのまま班番号になる、という仕組みになっている 「まい、一緒になれたらいいね」 綾が楽しそうに言った 「そうだね」 (はぁ、べつに誰となってもいいけど…あ、あいつとだけは嫌だな) そう言いながら舞は晴輝の方を見る 「あ、舞の番次だよ」 「ほんとだ」 そう言いながらくじを引きに行く ゴソゴソ (まぁなんでもいいや) 選んだ紙を開く…数字は『4』 そのまま席に戻る (そういえば、三谷くんは何班なんだろ…) 舞は密かに裕紀が何班か気になっていた (べつに三谷くんと同じ班になりたいとかではなくて、話したことある男子が三谷くんしかいないっていうだけなんだから) 「あ、桐崎さん!」 「っ!!」 考え事をしていた舞に裕紀は不意に声をかけた まさか裕紀に声をかけられるなんて思っていなかったので思わず驚いてしまう 「桐崎さんも4班なんだ、僕も4班だからよろしくね」 「う、うん、よろしく」 (まさかほんとに一緒になるなんて) 「お、裕紀も4班じゃんか」 驚いている舞に更に追い打ちがかかる
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!