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ピピッピピッピピッ 「うーん…」 ピピッピピッピピッ 「うるさいなぁー…」   バタン! 「双葉ー!起きなさーい!」 「うーん…」 「起きろっ!電車乗り遅れちゃうわよー」 ふわぁー…   「じゃあいってきます」 「いってらっしゃーい」 バタン 私の家から学校までは結構距離がある。 だから高校に入ってからは毎日憧れの電車通学だ。 帰りの時間はいつも混んでるけど、朝練に行くこの時間帯は人が少なくて座れるから快適なんだよね。 「まもなく一番線に電車が参ります…」 そんな放送を聞きながらいつも通り、いつもの時間、いつもの席に座った…   …………!? なんで…?なんで加藤さんが…? あれ、しかもその隣…、あれは植村裕介さん…だよね…?      もしかして、いつもこんな正面に座ってたの…!? なんで気づかなかったの、私!! ……! バッチリ加藤雄大さんと目が合ってしまった… 「あー、双葉ちゃんだ。おはよ」 「おはようございます」 「ってか早くない?いつもこの時間?」 「はい」   「そーなんだ?俺はいつももう一本遅いのにのってるから会わなかったんだな」   「え、じゃあなんで加藤さんはこの電車に…?」 「雄大さんでいいよー俺はコイツのせい」 雄大さんが植村さんを軽く睨んでる 「だからごめんって」 横から睨まれてることに気づいた植村さんが謝る あ、ウォークマン聞いていたんだ… 「ぜってぇ、許さねー。俺はもう少しぐらい寝たかったんだよ!」 「だって、雄大と朝から1on1したいとおもってよー。って、あれ?君は…昨日の子だよね」 今気づいたの!?ちょっとショック… 「あ、おはようございます。昨日はすみませんでした…」 「いやいや。俺こそつっ立っててごめんな?」 「え、お前ら知り合いなの?」 「いや、知り合いってほどじゃない、です」   知り合いじゃないって言葉が少しだけ辛く感じた…知り合いじゃ、ないのに……  
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