第1章

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【聞こえますか?】。 コポコポコポ…………。 【聞こえていますよね】。 コポコポコポ…………。 【ああ、すいません。私人間の精神が読めるので聞こえていないフリをしても無駄です】。 コポコポコポ…………。 【成る程、分かりました。此方からもそちらの利益になる条件を提示しましょう。私の話しを聞いてくれるなら、私の能力が許す範囲内で貴方の要望に答える事を約束します】。 コポコポコポ…………。『話しを聞くだけですよ』。 【ええ、それで構いません。貴方このままでは廃棄処分に成ることは理解していますね】。 コポコポコポ…………。『はい、勿論理解しています』。 【私の持っている情報によると、普通生命体は自らの死を避けようとするのではないのですか?】。 コポコポコポ…………。『僕は普通の生命体ではありません』。 【成る程確かにそうですね。強化ガラス製のシリンダーの中に浮いている生命体は少数派なのは間違いありませんね】。 コポコポコポ…………。『僕は生まれつきの超能力者を量産する為、超能力の所持者のクローン人間として作られました。僕は生まれた瞬間に役目を終えた存在です』。 【成る程、それで貴方は人体実験に使われる為にシリンダーから出される時以外は。大人しくシリンダーの中で浮いているのですね】。 コポコポコポ…………。『はい、その通りです』。 【つまり今の貴方には、生きる意味が無いのですね?】。 コポコポコポ…………。『はい、その通りです』。 【それは良かった。貴方のような存在を探していました】。 コポコポコポ…………。『?』。 【疑問に感じませんでしたか?。私が何処から貴方に話しかけているのか】。 コポコポコポ…………。『キョロキョロ?』。 【回りを見渡してみても無駄ですよ、私は貴方の中にいますから】。 コポコポコポ…………。『僕の中ですか?』。 【はい、正確には貴方の脳の一部を勝手に間借りしています。先に断りを入れずに申し訳ありません】。 コポコポコポ…………。『別に構いませんよ。どうせ僕はもうじき廃棄処分になる身ですから』。 【貴方は嘘を付かない人ですね。本気でそう言っているのが貴方の脳の一部を間借りしている私には良く分かります。しかしそれでは私が困るのですよ】。
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