第1章

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私は彼の分身を出現させました。 『視覚と聴覚は共有している?』。 【はい、クリスティー様問題ありません。視覚と聴覚も共有しています】。 『分かったわ、次が一番重要ね』。 クリスティー様は研究室の一番隅を指差して。 『分身をここまで動かして』。 【はい、クリスティー様】。 私は彼の分身を部屋の隅まで移動させました。 クリスティー様はバックパックを手に持ち、彼の本体の方に背負わせました。 本体がバックパックを背負うと、分身の方もバックパックを背負った外見に成りました。 『では本体と分身を入れ替えて』。 【はい、クリスティー様】。 私は彼の本体と分身を入れ替えました。 クリスティー様は入れ替えられた彼の本体が背負っているバックパックから、記録媒体を取り出して中の情報を確認しました。 『成功ね、記録媒体の情報は破壊されていないわ。これでこの実験施設から情報を持ち出せるわね』。 【直ぐに行動に移られますかクリスティー様?】。 『ええ、彼が始末した警備要員の存在に気が付かれる前に動く必要があるわ』。 クリスティー様は研究室の白衣から私服に着替えて、ゆったりとしたコートを羽織りました。 『バックパックは降ろしておいて、さすがにはみ出すから』。 【分かりましたクリスティー様】。 私はバックパックを降ろすと、彼の分身をクリスティー様の身体とダブらせました。 『出来るだけゆっくりと歩くから、私の身体から分身がはみ出さないようにね』。 【はい、クリスティー様】。 クリスティー様は研究室から出て、実験施設から出るまでに三回に渡るセキュリティスキャンを受けましたが、クリスティー様の身体とダブらせている分身は実体が無い為、如何なるセキュリティスキャンにも引っ掛かりませんでした。 実験施設から出て、少し離れた街まで車で移動してホテルの部屋を借りて部屋の中に入り、部屋の中でクリスティー様はウェアラブル端末を操作して盗聴器や追跡装置が無い事を確認してから。 『バックパックを背負って部屋の中心部に現れて』。 クリスティー様の身体とダブらせている彼の分身に対する指示に従い、私は分身をホテルの部屋の中心部に移動させてから、実験施設の本体の方は記録媒体を満載したバックパックを背負いました。
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