第1章

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彼の分身と本体を入れ替えて、クリスティー様の部屋に移動しました。 『実験施設の方は警報が鳴ったり、私の研究室に警備要員が踏み込んだりはしていない?』。 私は実験施設に残してある分身の視覚と聴覚を使い、クリスティー様の研究室の中の様子を確認して。 【今の所は大丈夫ですクリスティー様】。 『分かったわ、バックパックを渡して』。 私がクリスティー様にバックパックを渡すと、クリスティー様はバックパックから記録媒体を取り出して、もう一度記録媒体の情報が破壊されていないか確認してから。 『大丈夫ね。少しの間話すから、そこの椅子に座って待っていて』。 【はいクリスティー様】。 私が椅子に座りクリスティー様の方を見ていると。クリスティー様はウェアラブル端末を操作して会話を始めました。 『私です。はい成功しました。分かりました、そちらにデータを送ります』。 クリスティー様は記録媒体の情報をどこかに送りました。 『確認が取れましたか。はい、分かりました。少々お待ち下さい』。 クリスティー様はご自分のウェアラブル端末を操作して、何かを確認されていました。 『はいこちらも確認しました。実験施設のクローンはこのままホテルの部屋に置いておきますね。では失礼します』。 クリスティー様は私の方を見て。 『私は用が済んだから、愛しの旦那様の所に帰るわね。もうじきこの部屋に迎えが来るから、迎えに来た人の指示に従って。それと、その身体の本来の持ち主には、私の存在は教えないように』。 【はいクリスティー様】。 『定期的にそのクローンの情報は私に連絡するように。では失礼するわね』。 クリスティー様はホテルの部屋から出て行かれました。 クリスティー様がホテルの部屋から出て行かれて直ぐに。彼の分身を残してある実験施設に警報が鳴り響きました。 激しい爆発音と供に、実験施設全体が揺さぶられると。 実験施設のセキュリティシステムが一斉にダウンしました。 セキュリティシステムがダウンすると同時に、今まで実験材料に使われていたクローンの大半が、実験施設の警備要員や研究者に襲いかかったようで、実験施設の至る所から、阿鼻叫喚の断末魔が聞こえました。
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