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その日は、雪だった。
雪慣れしていない成田空港は、遅延と欠航の便が相次ぎ搭乗口も到着ロビーも人でごった返していた。
アナウンスは鳴り止むことなく遅延を伝え、電光掲示板には「DELAYED」の文字が並んでいた。
国際線ターミナルだけあって、様々な人種が交差している。
おおよそ、その箱の大きさに見合わない人の数と大きな荷物が
到着ロビーにあふれていた。
そこに一人の初老の男が立っていた。
やせ形のその男は、ダークスーツに身を固め、足が悪いのか見事な黒檀の杖をついている。
その男は高田 勝という。歳は68だ。
少しイラついていた。彼の待ち人の飛行機は
もう1時間前に到着していた。
時計と掲示板を交互にみながら顔をしかめる。
が、等の本人はなかなか顔を見せなかった…
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