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「ねえ、なんか久しぶりだよね。」
「ああ、2週間ぶりかな。」
「今日は何食べに行こうか。」
「そうだな、なんでもいいや。紗枝、どこか行きたいとこある?」
「えー、今日は護の優勝祝いなんだから護の行きたいとこ行こうよ。」
紗枝が気を使っているのは良く分かる。でも、なんか今日は素直になれない。
そんな中出てきたセリフがこれだ。
「紗枝、オレの部屋にくるか?」
その瞬間、紗枝は立ち止まってこっちを向き、真剣な顔で見つめてきた。
オレは平手打ちでもされるかと、いや、いっそのことこんな情けないオレを突き放して帰られても仕方ないと思った。
しかし、彼女の手は平手打ちではなく、オレの腕を両手で掴んで1度前後に揺さぶるとこう話し出した。
「護、あんた大丈夫?
なんかワザと怒らせるようなこと言ってるでしょ。
でもね、今日は許してあげる。
護が凄く頑張ってるの知ってるよ、あたし。
いつも護のこと見てたもん。
突然みんなの期待を背負わされて、でもそれに応えたいけど応えきれなくて、心無い人の中傷を受けてることだって。
でもあたしにとって護は護だし、護だって他人の為に走ってる訳じゃないでしょ。
走るのが好きなんでしょ。
今日だってそんな悪いタイムじゃないじゃない。
また、明日からいつもの護に戻って歯を喰いしばって頑張ればいいじゃない。
そりゃ、なかなか会えないのはつまんないけど、あたしはそんなガムシャラになって頑張る護をずっと見てるから。」
そうだ、オレが弱気になっているといつも紗枝に諭される。
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