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しばらくして、俺はまた母と共に祖父のもとを訪れ、用のある母とは別に一人で祖父と対面した。
「よく来てくれたな」
「ああ…母さんが用があるって」
こんな時間は何を話せばいいんだ?
ただ俺にとっては、ぎこちなく重たい時間が長く感じる。
「なあ…じいちゃんは戦争に行ったのか?」
何を聞こうか悩むうち、先日のこともあり口から出ていた。
「ああ…訓練をして出発を待っていた。そうしたら、戦争が終わった…儂は仇を…」
穏やかな表情が曇る。
「兄さん…たちの………兄さん…兄さん…」
祖父はポロポロと涙を流し、テーブルに置いている筋張り小さくなった手が握り締められた。
「兄さん…可哀想だ……兄さんたち…可哀想…」
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