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目の前にいる祖父は、俺の知っている祖父ではない。
兄達の死を受け入れねばならなかった戦時中の少年時代の祖父。
遥か50年以上前の話のはずなのに、祖父の中では、今また“その時”がやって来た。
いったい、あと何度、“少年”の祖父は、この悲しみを味あわなければならないのか…
「……そうだね…お兄さん達、可哀想だったね」
俺はテーブルに置かれた手に手を重ねた。
「今度、一緒にお墓参りに行こう…」
「………だ…れ…」
祖父は涙でべたべたの頬のまま顔をあげ不思議そうに俺を見る。
「…おお…よく来てくれたな…」
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