~* ペンデュラム(Pendulum) *~

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2014年春――― 「父さん、平和学習の宿題があるんだけど、ちょっといい?」 日曜の朝、小学6年になった息子の郁が、テレビを見ている俺の横にノートを手に座った。 「今度修学旅行から帰ったら発表なんだよ」 「へえ~…それで?」 「身近な人の戦争体験や空襲の話とか。身近な人って言われてもさあ…」 「そうだな……よしっ、ちょっと出掛けるか」 俺は『どこに?』と首を傾げている郁を『いいから…』と理由も言わず連れ出した。 家から3分程歩いた先に、我が家の墓地がある。 墓地と言っても荒らしていた畑に、父が飛び地のようにあった墓を一ヶ所に集めたのだ。 父はこの墓の整理を『自分が元気なうちにやりたい』と長年こだわっており、やっと数年前にやり遂げた。
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