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社会的にも福祉の面でも、介護と言う問題が今ほど整っているとは言い難い時代である。
介護保険制度もない頃の話だ。
共働きの両親は、親戚や父の姉などに介入されてはかき回され、さんざん悩みに悩んだ挙げ句、“そう言う施設”へと祖父を進ませることに決めた。
田舎の古い考えの人間がまだまだ多いどこか閉鎖的な地域、両親への目に見えない攻撃に似た“噂”を、俺はだいぶ後になり人伝に聞いた……。
我が家が本当に困って立ち行かない時、励ましてくれていたのに…
口では同情ともとれる“優しい”言葉を吐きながらも、見えないところでは残酷な言葉を平気で吐く。
世の中そう言うものなのかもしれないが、堅固に見える地域社会も、裏は崖のようなものなのだと、祖父亡き後数年後に俺は知った。
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