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「兄さんが…兄さん達が…」
今さっきまで楽しそうだった祖父が、急に涙声になった。
(なんだよ、急に…?)
驚く俺とは対照的に、母は落ち着いた様子で『そうね…』と祖父の手を握る。
「うっ……兄さんが…死んだ…兄さん達が………可哀想だ…うぅ…兄さん…可哀想……」
(は?何を言って…兄さんって、あの戦時中に亡くなったってあの二人だろ?な、何十年前だよ…)
それでも祖父は、たった今亡くなったと聞いたかのように涙し泣く。
戸惑う俺の前で、暫くすると嘘のように『よく来てくれたな』と嬉しそうに笑い出した。
(どう言うことだよ?)
福祉を勉強もしていない俺には意味がわからないまま、面会が終わり帰ることになった。
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