~* ペンデュラム(Pendulum) *~

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帰りの車の中、母が口を開く。 「おじいちゃん…ビックリしたでしょう…」 「…いつもああなの?」 ハンドルを握り運転する母は、少し悲しそうに『ええ…』とため息を吐くように声を出す。 「時々ね。昔のことを今あったかのように…特にお兄さんたちのことはね… 」 「そりゃ悲しいだろうけど、何十年前の話だよ…」 『そうね』と呆れてウンザリしている俺をチラリと横目で見る。 「お母さんも最初、今頃何を言い出すの?って思った。でも、おじいちゃんのような人達にとって、今より過去の方が今あったかのようにはっきり思い出すみたいなの。 おじいちゃんは…お兄さん達のことをほとんど毎回のように言ってる」 「は?いつも?」 「ええ…いつも泣いてるわ」
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