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言葉にできないでいる俺を察してか、
「おじいちゃんは知っての通り三男だったの。末っ子で少し年も離れてるから、みんなに可愛がられて育ったんでしょうね。家をどうこうしなきゃなんて意識は全然なかったはずよ」
母は俺に何かを伝えるかのようにゆっくり語る。
「今の中学か高校生くらいの時にお兄さん達を…。その時からまだ少年だったおじいちゃんは、急に家を守る存在にならなければなかったの。きっと時代のせいで、悲しく辛い気持ちを押し殺してね…」
「じいちゃんの親だっていたんだろ?なにも、じいちゃん一人が…」
「おじいちゃんの両親も、その当時は時代が時代だったから、いろんな気持ちを出さずに内の秘めて…だから…おじいちゃんのお母さんも……おじいちゃんのように…」
ポツポツと母が話す曾祖母の話を聞いたあと、車は信号で止まり、俺は『はあ…』と苦い息を吐いた。
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