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~* ペンデュラム(Pendulum) *~
2000年2月――
心配された1999年のノストラダムスの大予言・空からやって来る恐怖の大魔王や、2000年問題によるコンピューターのパニックも、何事もなく済んだと安心したのも束の間。
その冬一番の積雪の日、“入院”中の祖父の『様子がおかしい』と早朝より連絡があった。
走り慣れない雪道を、父は逸る気持ちを落ち着かせつつ車を急がせる。
当時大学生だったは俺は、塩カリを撒いたあと特有のショリショリとした音を聞きながら、窓から見える灰色の空と白い景色をぼんやり見ていた。
俺にとって祖父とは、祖母と一緒に共働きの両親に代わり、俺達兄弟を見てくれていた“恩人”のような存在である。
だが、“長男”と言うありがたくもない肩書きを生まれながらに付けられた俺にとっては、ゆくゆくは我が家の後継ぎに…との意識を押し付けてくる重たい存在でもあった。
『長男なんだから』
この言葉を幾度となく聞かされ、時に弟との厳しさの違いに泣いたこともあった。
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