第1章

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 タクトは価値を失った世界よりもカズマに興味を持っていた。世界を襲っていた攻撃が止み、人々はその姿を見つめる余裕が出来ていた。  人々は予感していた。その者の存在を。 「行けえ! ヒーロー! 悪い怪獣をやっつけてくれーーー!!」  それは今のカズマに向けられた声援。カズマ(大人)もミワも関係ない。思い出は思い出として今を戦い抜く。 「こんな俺にも望んでいる人がいるなら、やってみるのも悪くはないか・・・」  今までに出会った多くの人達とその記憶を思い出す。 「分かってるぜ。お前達の戦いを無駄にはしない。人類は救ってみせるさ。行くぜ、スーパーダーンカイザーゴーだ!!」  カズマは向かっていく。立ちはだかる巨大な敵に向かって。その背を仲間達が押してくれる。  戦いは熾烈を極め、カズマの放つスーパーデッドエンドスパークスがさく裂した。辺りは真っ白な光に包まれ、カズマの意識も光の中へと溶け込んでいった。  部屋のカーテンを優しい風が揺らしている。  大人になったカズマは仕事の準備をして鞄を手に取った。 「行ってくるよ。今度は少し大きな仕事になるかもしれない」  声を掛けた先には二枚の写真が立ててあった。  一つは最初にヒエバナが見せてくれたかつての英雄カズマが仲間達と勝利の笑いを浮かべている写真。  そして、もう一つは今のカズマが戸惑いながらも今の仲間達と勝利を喜ぶ写真だった。
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