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カズマ(大人)は消えた。彼の望んだミワの元に帰っていったのだ。目の前にあるダーンカイザーにももうその意思はない。
それはつまり、カズマにはもうヒーローを目指す理由が無くなったということだった。
「俺は何をすればいいんだ。この世界でたった一人で・・・」
「僕が教えてあげるよ!」
格納庫の天井が吹き飛んだ。タクトのアーノルドが見下ろしてきた。その腕にはヒエバナの機体が握られている。
外の戦いをクローンに任せ、タクトは話し掛けてくる。
「君は今までのように僕のために破壊をしてくれればいい。僕ではやっぱり上手く出来なくてさ。こんな物でもなかなか上手く壊れてくれないんだ」
「ううっ、カズマさん・・・」
「今までのように破壊と再生を上手く分担していこうよ。二人で世界を動かすんだ。いらない奴らを全部破壊してさ!」
「あああ!」
タクト機の力が強められ、その腕の中でヒエバナが悲鳴を上げた。
その光景はカズマにA級怪獣に握りつぶされそうになった最初の戦いを思い出させた。
敵の腕を払いのけ、デッドエンドスパークスを決め、勝利した。みんなが喜び、ヒーローインタビューを受けた。ミワも喜んでくれた。でも、それも全部・・・
「俺の記憶じゃないんだ・・・!!」
カズマは失意の中にありながらもダーンカイザーに乗り込んだ。タクトは喜びの声を上げた。
「やる気になってくれたんだね、カズマ! いつものようにいらない奴らを綺麗に破壊してよ! 僕には君だけが必要なんだ!」
カズマは動く。ダーンカイザーの剣がヒエバナを掴んでいたタクト機の腕を斬り落とした。タクトは驚愕の声を上げた。
「何をするんだ! カズマ!」
「違うぜ、タクト。この世界に人は必要なんだ。俺とお前だけが必要ないんだ!」
「お前も壊れてしまったのか! カズマああああ!!」
飛び立つタクト機。
「行ってくるよ、ヒエバナさん」
後を追ってカズマも飛んだ。空中で静止するタクト機。その壊れた腕が再生し、周囲のクローンアーノルドと合体して巨大化していく。
「僕は今こそ理解したよ。この世界に怪獣が必要だったわけを!」
「怪獣か。それももう過去のことだ。今の時代にはもうほとんど残っていない」
「僕が始めるのさ! その歴史を!」
タクトは巨大なSS級怪獣となって変貌した。その姿はカズマにかつての記憶を思い出させた。
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