第1章

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 ミワが戦死したあの戦い。傷つき、くじけそうになりながらも、ミワが望んだヒーローとして活躍し、インタビューを受けた。人々にとっては今でも語り継がれる栄光の瞬間だった。   『負けないで、あたしのヒーロー』  ミワがそう望んだから。その望みを果たすことにした。どんなに辛くても精一杯のヒーローを演じてみせた。 「俺はあいつじゃないのに・・・カズマじゃないのに・・・どうしてこんなことを気にしちまうんだ! 感じちまうんだよ!」 「それは壊れているからだ。僕が治してあげるよ!」  タクトの攻撃がカズマを襲う。カズマは避け、背後のアーノルド部隊が蹂躙されていった。   『俺にはもう未来がない。それはこれからのお前が掴むものだ』  カズマ(大人)が言い残した言葉。わずかな思いの欠片が攻撃を避けさせていた。 「知るかよ、そんなこと! 俺には未来どころか、過去だってありはしないんだ!」 「未来は僕の治した先にある。全ての過ちが正される世界だ!」 「終わらせる。俺達の過ちを! デッドエンドスパークスだ!」  ダーンカイザーの必殺技はSS級怪獣をも破壊する。それはかつての歴史にあった光景だ。だが、歴史は繰り返されない。タクトは再生する。 「残念だよ。君にはもう破壊することも出来ないんだね」  ダーンカイザーはタクトの攻撃で地に落とされた。タクトは空に飛び、地を見下ろした。 「理解したよ。この世界にはもう治す価値のある物すらないってことがさ!!」  世界に無数に存在したクローンアーノルド軍団の攻撃が止んだ。人々は戦いが終わったのかと、平和が戻ったのかと思った。だが、前者は正解で後者は間違いだった。 「滅べよ、人間。かつての恐竜のように、跡形もなくだ!!」  クローンアーノルド軍団が隕石となって地上に突撃していく。人々は止めようとするが、命を何とも思わないその特攻を止めることは出来なかった。地上が炎に包まれていく。  カズマの意識は闇に沈もうとしていた。 「なんてざまだ。俺にはあいつのように世界を救うヒーローになることも出来ないのか。出来損ないのクローンだな・・・」  思い出すかつての仲間達。 「俺の仲間じゃねえけどな・・・」  カズマ(大人)が恥ずかしそうにミワと手を繋いだ。初めてのデート。 「お前はお前の望む未来に辿りつけたのか・・・?」
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