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目の前の男に対して興味をなくした私は急にお腹が減ってきた。
あぁ、美味い肉達に早く会いたい。
そう思っていると
「お待たせしましたー」
と、若い女が脂のすじが綺麗に入った肉を持ってきた。
やっと来たっ!
私は肉をさっそくを網に乗せ、肉の焼ける香ばしい香りを楽しんだ。
網の上から滴り落ちる肉汁がまた食欲をそそる。
こんなに高そうな肉を食べるのは久しぶりだった。
それに、職をなくした私は今後しばらくはこんな良い肉にありつけることはないだろう。
目の前で綺麗な焼き目をつける肉を眺めていると涎がこぼれそうになる。
「ねぇ、君って名前はなんていうの?」
肉の世界に浸っていると、ホスト風の男に現実に戻される。
「……トモ」
ポツリと答える。
「へぇ、可愛い名前だね。
トモちゃんって呼んでもいい?」
「お好きに」
「……」
「……」
肉の世界から現実に戻しておいて、沈黙することないじゃない。
話をふってきたならもう少し続けなさいよ。
仕方がない。
優しい私が話のネタでも振ってあげることにした。
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