序章

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ただただ、見た目がいいだけ。 それだけで人は私をチヤホヤとする。 私が少し髪をかきあげただけで、男は鼻の下を伸ばす。 女は私の真似をして髪を伸ばす。 逆にブスは男にも女にも相手にされない。 ひどければ、ブスだの、キモイだのとその場に居るだけで嫌なことを言われたりするのだ。 人間なんて、表の皮を剥げばみんな一緒、骨と内臓と肉があるだけなのにね。 それなのに表についてる皮が違うだけで、相手に対する態度が変わるなんて本当に人間は愚かなものだ。 見た目が全て。 とは言わないけれど、不平等な世の中で見た目が人生において重要なファクターを占めることを私はチヤホヤされることで実感していた。 この見た目があれば、私は全ての人をひれ伏せさせることができる。 そんな気さえしていた――
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