嬢王様の誕生

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「これからどこいくの?」 「特に」 美味い物が食べたい。 ただそれだけで特に目的地はない。 「そんなに冷たくしないでよー」 ……私は今、虫の居所が悪いのだ。 ホストかナンパかはわからないけど、鬱陶しくなってきた。 私は歩く速度を速めた。 「ね、ちょ!待ってよー」 それでもホスト風の男はついてくる。 一体なんなのよ、面倒くさい。 こういう場合は無視を決め込んでひたすら歩くのが吉。 私は無言でさっさと歩く。 「ねぇって。待ってよー」 スタスタスタ 「少しくらい話聞いてよー」 スタスタスタ 「ほんの少しでいいからさー」 あぁ、もう!本当しつこい!! ただでさえイライラしているのになんだというのか。 私は早く美味いご飯が食べたいだけ。 そう、美味いご飯に。 ……あ、そうだ。 これは使えるかもしれない。 私はここで名案を思いついた。 足早に歩いていた足を止め、ナンパなのかホストなのかわからない男の方へと振り返った。
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