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「で、何が食べたいの?和・洋・中なんでもおごるよ」
「そうね。肉」
「肉?」
「同じこと2回も言わさないでよ」
「ははっ、ごめんごめん。
じゃあ焼肉にでも行く?」
「おっけ」
こうして私達は数分歩き、小奇麗な焼肉屋さんへと入った。
かなり高額な値段で書かれたメニュー表を見て、ザッと適当に注文する。
初めて会った女に対して、こんな高い店に連れてくるなんて本当にコイツは何なのだろうか。
見た目チャラそうな、スーツ姿の若い男。
やっぱり、ホストだろうか?
顔もイケメンの部類だし、売れっ子ホストでもやってるのかもしれない。
そんなことを思いながら、目の前の男を眺めている。
「ん?そんなに見つめられると照れちゃうなぁ。ははは」
「別に。
ただ、なんで私に声かけたのかな、と思って」
ホストが私に声をかけるとするなら?
思考を巡らせてたどり着く結論は一つ。
きっと、これから言葉巧みにコイツの店にでも連れて行かれて客にされるのだろう。
しかし残念。
ちょうど職を失ったばかりの私はホストクラブで遊ぶような金は持ち合わせていない。
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