シカイノハシ

4/5
前へ
/5ページ
次へ
 私がそう繰り返すと、彼は小さくウンと頷き、 「ちょっと前からさ、視界の端に誰かが見えるんだよ」 と怖い事を言いながら、左右の腕を目一杯広げた彼は、真横のちょっと後ろ位の位置で手を止め、指先をチョロチョロと動かして見せた。 「この辺。……だけど、振り返るといつも誰もいなくてさ」  そう言われ、私も両手を広げ自分の視界の端を確かめてみる。 「ソレっていつも見えるの?」 「否、たまに……かな。」  彼はそう言うと、目だけをキョロキョロと動かし、 「今は見えない」 と、呟いた。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加