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私がそう繰り返すと、彼は小さくウンと頷き、
「ちょっと前からさ、視界の端に誰かが見えるんだよ」
と怖い事を言いながら、左右の腕を目一杯広げた彼は、真横のちょっと後ろ位の位置で手を止め、指先をチョロチョロと動かして見せた。
「この辺。……だけど、振り返るといつも誰もいなくてさ」
そう言われ、私も両手を広げ自分の視界の端を確かめてみる。
「ソレっていつも見えるの?」
「否、たまに……かな。」
彼はそう言うと、目だけをキョロキョロと動かし、
「今は見えない」
と、呟いた。
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