1人目  ブロイラー

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さて、それではそろそろ私の仕事の話をしようか 私みたいな頭も技術も体力も無い人間が出来る仕事が限られてくるのは当然と言えよう キャリアウーマンにはなれないし、エンジニアやスポーツの世界で活躍なんて出来やしない かと言って、事務職や工場仕事では、日々の生活で精一杯だ 安直な人間は、ならば水商売で稼げば良いだろうと、寝言を言うかもしれないが 器量も無い、コミュニケーション能力も皆無の私に、水商売とは、馬鹿にするのもいい加減にしていただきたい それでも、私はお金が欲しい 身の程を知れと、罵られるかもしれないが、切に思う …父に《美味しいお肉》を食べさせてあげれる位のお金が欲しい 父が病気で先が長くない… とは、言わないが、あの牛丼ツユダク並盛りの思い出を返してあげたいのだ …まあ、私が食べてみたいと言うのも多分にあるが だから私はこの職を選んだ 頭も技術も体力も器量もコミュニケーション能力も無い私がお金を稼げる仕事 私が唯一持てる武器を使い稼げる仕事 出産能力があるという事 私はブロイラーになる事を選んだ お父さんお母さん、女に生んでくれてありがとう
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