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結果。
「本当に全員分居ましたね」
寄せられた茶器の隣、同じく寄せ集められたのは七体の『何か』だ。両手に収まる大きさは子犬を創造させるが、其々が仲間の特徴を良く捉えており『七哲の小型版』といった様相である。
その場に留まろうとしないもの、不満そうな顔をするものと様々であったが饅頭を宛がうと大人しくなった。噛り付き頬袋を膨らましながら、幸せそうに卓上に座っている。
とりあえず師の目に留まる前に回収出来た事を安堵し、氏郷が点てた茶で喉の渇きを潤す。飲み慣れた抹茶は緊張感を解き解し、同時に脳内を冷静にさせた。
「それにしても、これはどういうものなのでしょうか」
一番大人しくしている小さな『何か』の頬を指先で触れ、瀬田が首を傾げる。
捜索中に交わした会話からして、七哲の誰かが仕込んだものでもないらしい。全員が見える・触れられる以上実体はあるのだろうが、どういった原理で動いているのか、そもそも此れが何なのか…疑問は尽きない。
「古田さんお手製の人形かと思ってました」
「こんな悪趣味なものは作らん」
はっきりと断言する古田に『悪趣味』と言われた『何か』は、腹が満たされたのかどれも満足顔だ。ああでもない、こうでもないと話している七哲の面々を見上げていた『何か』だったが、白熱する議論の最中に一体がすっと立ち上がる。
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